公益社団法人 北海道理学療法士会

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理学療法士の皆様へ

知識のマグマ

Vol.29 COPD における身体活動
北海道千歳リハビリテーション大学
森野 陽


 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)はタバコ煙を主たる原因とした肺の炎症性疾患である。さらに炎症性サイトカインを介して全身の併存症を誘発すると考えられていることから、全身性疾患として捉えられている1)。全身への影響で理学療法士に特にかかわりの深い骨格筋機能障害は、筋萎縮、筋線維の変化(赤筋が減少し、相対的に白筋の割合の増加)、筋毛細血管の減少、筋代謝能力の低下を主体とする2)。
 COPD のガイドラインにおいて、軽症から長時間作用性気管支拡張薬の定期的な使用や呼吸リハビリテーションの併用が推奨されており、COPD に対する呼吸リハビリテーションは、運動耐容能の改善、呼吸困難感の軽減、健康関連QOLの向上などの効果がある1)。また運動療法については、低強度負荷での運動療法も高強度負荷での運動療法もどちらも臨床的に有用であるものの、高強度負荷の方がより生理学的効果が高いため、いかに安全に高強度負荷での運動療法を行うかということが、これまでの呼吸リハビリテーションにおける理学療法士の役割の1 つとなってきた。
 近年、COPD 患者において、身体活動の重要性が明らかとなってきている。Waschki らは3)、COPD の代表的な呼吸機能検査値である予測一秒量 (FEV1%pred.) や、栄養の指標である除脂肪指数 (Fat-free mass index)、運動耐容能の指標である6分間歩行距離 (6-minute walk distance) よりも、日常的な歩数 (steps per day) や、1 日の総エネルギー量を一晩のエネルギー量で割った値 (physical activity index) の方がCOPD 患者の死亡率に影響を与えると報告している ( 図1)。
 運動耐容能の改善と健康関連QOL の改善を目的としたこれまでの呼吸リハビリテーションはもちろんのこと、これからの呼吸リハビリテーションは、さらに身体活動の向上も目指した介入が必要である。

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図1. 身体活動に関連する相対死亡率と確立された予測因子の死亡率との比較 ( 文献3 より引用)

引用文献
1)日本呼吸器学会COPD ガイドライン第4 版作成委員会.COPD ( 慢性閉塞性肺疾患) 診断と治療のためのガイドライン第4 版. 株式会社メディカルレビュー社, 東京,2013, pp21-23
2) Nici L, et al.: American Thoracic Society/EuropeanRespiratory Society statement on pulmonary rehabilitation. Am J Respir Crit Care Med, 173, 1390-1413, 2009.
3) Waschki B, et al.: Physical activity is the strongestpredictor of all-cause mortality in patients with COPD: aprospective cohort study. Chest, 140, 331-342, 2010.