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知識のマグマ

Vol.31 特発性間質性肺炎 (IIPs) における呼吸リハビリテーションと身体活動
北海道千歳リハビリテーション大学
森野 陽


【間質性肺炎と特発性間質性肺炎と特発性肺線維症との違い】
 間質性肺炎 (interstitial pneumonia: IP) は膠原病、薬剤、放射線、環境・職業など原因が明らかなものと、原因が不明な特発性間質性肺炎 (idiopathic interstitial pneumonias: IIPs) に分けられる。さらにIIPs は表1 に示す9 種類に分けられ、その中でも治療反応性が乏しく、進行性疾患である特発性肺線維症 (idiopathic pulmonary fibrosis: IPF) がIIPs の約9 割を占める1)。原因が明らかなIP の治療の基本は原因の解決であるのに対し、IIPs はその経過や治療反応性によって治療内容が異なる。

 表1. IIPs の分類   文献1)


【IIPs ならびにIPF に対する呼吸リハビリテーション】
 IIPs に対する呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)は概ねCOPD に対する呼吸リハに準じて行われ、軽症であれば高強度負荷での運動療法により運動耐容能の改善を目指す。COPD とは異なる一番のポイントは「呼吸法」である。IIPs は
拘束性換気障害であるため、口すぼめ呼吸は指導しない。また一回換気量が少ない状態で、動作に必要な換気量を確保するためには、速い呼吸は仕方ないと判断することがほとんどである。
 IP やIIPs の中でも治療反応性のよい疾患については、基礎疾患のコントロールと呼吸リハにより運動機能の改善が十分期待できる。しかしながらIIPs の中のIPF においては、呼吸リハによる改善と同時に疾患の進行が起きており、短期的な効果は認めるものの、その効果は約半年でなくなってしまう2)。IPF に対する呼吸リハは、疾患の進行という観点で、他のIP と分けて考えるべきである。

【IIPs の身体活動】
 COPD においては、呼吸機能や運動耐容能よりも日常の身体活動がより生命予後に影響を与えるといわれているが、IIPsにおいては、身体活動や運動耐容能よりも、IIPs の病態を示す代表的な呼吸機能であるDLCO の方がより生命予後に影響
を与えると報告されている( 図1) 3)。IPFに関しては身体活動が運動耐容能に影響を与えるという報告もあるが4)、IIPsに関する身体活動の報告は非常に少ないため、今後さらなる研究が期待される。

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 図1. 特発性間質性肺炎における各指標と生存率   文献3)

引用文献
1) Travis WD, et al.: An Official American Thoracic Society/European Respiratory Society Statement: Update of the International Multidisciplinary Classification of theIdiopathic Interstitial Pneumonias. Am J Respir Crit Care Med, 188, 733-748, 2013
2) Kozu R, et al.: Differences in response to pulmonary rehabilitation in idiopathic pulmonary fibrosis and chronic obstructive pulmonary disease. Respiration. 81, 196-205,2011.
3) Wallaert B, et al.: Physical activity in daily life of patients with fibrotic idiopathic interstitial pneumonia. Chest, 144,1652-1658, 2013
4) Morino A, et al.: Daily physical activity affects exercisecapacity in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.JPTS, 29, 2017. (in press)