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理学療法士の皆様へ

知識のマグマ

Vol.36 補装具支給制度に係る豆知識
公益社団法人 北海道理学療法士会 盛  雅彦

1.はじめに

 福祉用具は、障がいのある人や高齢の人が自立した生活を営むための機能や能力を補助したり、介護や介助する人の介助量を減らすために用いる用具の総称で、福祉機器とも言われます。法律では「日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具」と定義され、補装具も福祉用具に含まれています。
 補装具は制度上、治療用装具と更生用装具に分けられます。治療用装具とは、病院での立位・歩行練習等のリハビリテーション治療で使用する用具で労働者災害補償保険法や医療保険法等で支給されます。一方、更生用装具とは、退院後に日常生活で使用する用具であり、障害者総合支援法や介護保険法等でその費用が支給されます。補装具の定義は「障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、長期間にわたり継続して使用されるもの、その他の厚生労働省令で定める基準に該当するものとして、義肢、装具、車いすその他の厚生労働大臣が定めるもの(障害者総合支援法平成17 年11 月7 日法律第123 号第5 条第23 項)」で、次の各号のいずれにも該当するものとされています。
①障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、その身体への適合を図るように製作されたものであること。
②障害者等の身体に装着することにより、その日常生活において又は就労若しくは就学のために、同一の製品につき長期間に渡り継続して使用されるものであること。
③医師等による専門的な知識に基づく意見又は診断に基づき使用されることが必要とされるものであること。

2.福祉用具に関する公的制度
 公的制度としては、障害者総合支援法による補装具費支給や日常生活用具給付のほか、介護保険法による福祉用具貸与(レンタル)や購入費給付、労働者災害補償制度、社会保険制度(医療保険)等がありますが、これらの利用では原則、優先順位があるため注意が必要です(表参照)。
 また、各制度により支給される用具の種類や個数も異なり、車椅子等は全ての制度で支給されますが、義肢・装具は介護保険法では支給されないなど、制度毎に確認が必要です。さらに、介護保険法では「歩行器、杖、車椅子、電動車椅子」は支給ではなく「貸与」となります。平成30 年度から障害者総合支援法においても歩行器や重度障害者用意思伝達装置(本体)等の補装具で「貸与」が始まりましたが、運用上の課題から普及するには時間がかかりそうです。

3.おわりに
 在宅リハビリテーションに関わる理学療法士は増えているものの、ケアマネジャーや訪問介護員等の方が関わる頻度が多いのが現状です。現場に関わる者が、使用に耐えない補装具をいち早く発見することが望まれますが、理学療法士には、補装具のチェックアウトだけではなく適正に支給制度を活用することも求められています。なお、北海道理学療法士会職能局では、一般向けに「下肢装具のしおり」をホームページ上で公開していますので、参考してください。(http://www.pt-hokkaido.jp/info/details/post-51.html)

(表)補装具費支給等の公的制度利用時の優先順位

優先順位

法律・制度

保険者・窓口

自動車損害賠償保障法

自賠責保険会社

労働者災害補償保険法

国家・地方公務員災害補償法

労働局

人事院・地方自治体

健康保険法

国民健康保険法

船員保険法

各種共済組合法

生活保護法の医療扶助※2

介護保険法

全国健康保険協会

市町村

全国健康保険協会※1

各自治体の共済組合

市町村

市町村

障害者総合支援法

戦傷病者特別援護法※3

市町村

都道府県

生活保護法

市町村

1平成22年に船員保険の労災部門が労災保険に統合された

2治療用装具に限ります

3戦傷病者特別援護法は介護保険法より優先します





























※ 1 平成22 年に船員保険の労災部門が労災保険に統合されました
※ 2 治療用装具に限ります
※ 3 戦傷病者特別援護法は介護保険法よりも優先されます

【引用文献】
1)札幌市地域リハビリテーション推進協議会/ 札幌市身体障害者更生相談所編:札幌市地域リハビリテーションハンドブック2015;2015 年3 月,45-70.188.
2)一般社団法人日本義肢協会編:平成30 年度改訂版補装具費の支給基準;2018 年5 月